奈良県香芝市の内科医療と美容医療のかかりつけ医
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シミ・肝斑・ADM・そばかす

シミとは

表皮にメラニンが蓄積されることで起こる淡褐色~茶褐色~黒褐色の色素沈着のことです。

通常、メラニンは肌のターンオーバーで排出されるのですが、過剰に生成されると排出されずにシミとなります。

シミの種類

シミにはいくつかの種類があり、それぞれ原因が異なっています。

  1. 紫外線で発症するもの:日光黒子(老人性色素斑)・脂漏性角化症
  2. 女性ホルモンや皮膚への刺激で発症するもの:肝斑
  3. 遺伝性で紫外線により悪化するもの:雀卵斑(そばかす)
  4. アザの仲間:ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)・太田母斑

【1. 老人性色素斑・日光黒子】

特徴

  • 顔や手の甲、前腕、背中など、紫外線が多くあたる場所みられる
  • 大きさは5㎜~20㎜程度と大小様々
  • シミと周囲の皮膚との境界がはっきりしている
  • 20~30代から年齢ととも徐々に濃く目立つようになる

性状

30歳代以降に年齢とともに現れてくるシミで、顔や手の甲、前腕、背中の上部など日光のよく当たる部分にみられます。薄い茶色~濃い褐色で境界がはっきりしています。

大きさは大小様々で数㎜大で多発する小斑型~数㎝大の大斑型があり、最初は色がうすく目立たないものの、少しずつ濃くはっきりとしてきます。次第に表面がざらざらとして厚みが増すこともあります(脂漏性角化症)。

原因

長期にわたり紫外線が当たることで表皮細胞や色素細胞のDNAが損傷され、異常なケラチノサイトの蓄積し、表皮基底層にメラニンが沈着します。ターンオーバーの乱れも原因となります。

治療

  1. ピコレーザーやルビーフラクショナルレーザーによるシミの破壊
  2. ハイドロキノンなどの外用薬や内服薬によるシミの排出、色素沈着の予防
  3. エレクトロポレーションやメソセラピーによるシミを薄くしていく治療 

【2. 肝斑】

特徴

  • 薄褐色~褐色で正常な肌との境界が分かりにくい
  • 目の下、頬、口の周りなどに左右対称にみられる
  • 目の周りを避けるような広がりをしている
  • 30~50代の女性に多い
  • 生理や更年期の影響など女性ホルモンの乱れがみられる

性状

日本人を含むアジア人女性に多く、30~50代の女性に多くみられます。両頬や頬骨の辺り、額、口周辺などに左右対称にできるモヤっととした褐色のシミです。通常のシミと異なり境界がはっきりせず、ぼやけた印象であることが多いです。

原因

紫外線、女性ホルモンの影響、摩擦による機械的刺激(化粧や摩擦する洗顔などの物理的な刺激)、ストレス、経口避妊薬(ピル)などの薬剤など慢性的な刺激の影響で、メラニン産生が亢進することが原因とされています。通常は閉経後に自然に消失していくことが知られています。

  • メラノサイトの活動が活性化し、メラニン産生が多く肌の色調の不均一がみられる
  • 肝斑部では紫外線暴露による真皮の劣化がみられる
  • 摩擦による刺激で角層も薄くなり、バリア機能が低下している

治療

まずメラノサイトの活動性を鎮静化する保存療法が重要です。日焼け止めや日傘などでの遮光・UVケアや洗顔指導などのスキンケアです。刺激が強いレーザー治療のみでは悪化する場合があり、第一選択ではありません。

  1. トラネキサム酸やビタミンC・Eなどの内服治療
  2. 美白クリーム・ハイドロキノンなどの外用剤治療
  3. 高濃度ビタミンCなどの美容点滴
  4. エレクトロポレーション導入
  5. ピコトーニングなどのレーザー治療

①保存的治療

肝斑治療に重要な内服薬の成分はトラネキサム酸とビタミンC・Eです。

トラネキサム酸は、シミの原因となるメラニン生成を抑制し、また抗炎症作用により肝斑を改善します。ビタミンC・Eもメラニン生成を抑制しながら、メラニンを分解して、シミを薄くします。

高濃度ビタミンCなどの美容点滴やエレクトロポレーションの併用も効果的です。またZOスキンヘルスシリーズによるホームケアもおすすめしています。ZOスキンはシミ治療に適しており、顔全体を明るくトーンアップさせながら、ハリのあるつや肌に導くドクターズコスメです。

②デバイス治療

保存的治療を継続しながら、レーザー治療を併用していきます。ピコトーニングとは、低出力のピコレーザーを顔全体に照射する治療法です。メラニンを少しずつ分解・排除し、肌全体を明るくトーンアップさせます。


【3. ADM:後天性真皮メラノサイトーシス】

特徴

  • 頬、こめかみなどに左右対称にみられる
  • 通常のシミと異なり、やや青みがかった灰色調の斑点がみられる
  • 20-30歳代の女性に多い
  • 通常のシミと異なり、メラニンが皮膚の浅い層(表皮)と深い層(真皮)の2層にみられる

性状

両頬の頬骨部、こめかみ・額、鼻根部、眼瞼などに3〜5mmのやや青みを帯びた灰色~灰褐色調の斑点状の色素斑が左右対称にみられ、皮膚の浅い表皮層と深い真皮層にもメラノサイトが存在しています。思春期以降の20-30歳代の女性に多くみられます。

原因

紫外線や女性ホルモンなどの影響で真皮メラノサイトが活性化すると考えられていますが、はっきりした原因は不明です。

本来は存在しないはずの真皮層にもメラニンが入り込むようにみられるため、シミというよりもアザの一種と考えられています。しかし表皮基底層にもメラニン沈着がみられることが多く、肝斑との合併例も多いため、総合的に診断し治療方針を立てていく必要があります。

治療

真皮のメラノサイトを破壊・除去するためには、ルビーレーザーやピコレーザーによる治療が必要となります。通常のシミと異なり、真皮に病変があるため薄くなるには数か月かかります。そのため十分に経過をみながら複数回の治療が必要となります。

ルビーフラクショナルでの治療は、点状照射であるため、過度な熱損傷を抑えながら、確実なメラニンの破壊と真皮のリモデリングがみられるため、従来よりもダウンタイムが少なくなります。また炎症後色素沈着のリスクを軽減し、肌への負担なく治療が継続できます。ルビーレーザー通常照射では6か月程以上の間隔での治療でしたが、ルビーフラクショナルでは1~2か月毎の治療が可能です。


【4.そばかす:雀卵斑】

特徴

  • 幼い頃から頬、鼻などに小さな粒状の斑点がある
  • 1mm~3mmの小さな茶色いシミが左右対称にみられる
  • 家族にそばかすがある人がいる
  • 紫外線の多い夏に濃くなりやすい

性状

いわゆるそばかすのことです。両頬から鼻のまわりにかけて、1〜3mmの小さい茶褐色の粒状の斑点が左右対称に散在しているシミです。

原因

遺伝的要因(MCIRの遺伝子多型)が発症に関与している色素沈着であるため、しばしば家族性で、色白の乾燥気味の肌に多く、5~6歳ごろの小児期から現れはじめ、思春期の頃に濃く目立ってくることが多いです。紫外線や妊娠により増悪する。特に夏期に濃くなり、冬期に薄くなる傾向があります。

病態的にはメラノサイトの異常によるシミの仲間ですが、メラノサイトの数は不変であり、大型化してメラニン産生が亢進し、表皮内に過剰に蓄積している状態です。

治療

レーザー治療に反応性がよく、1回の治療でも高い効果がみられますが、体質性の色素失調症の一種であるために数年後など長期的には再発する可能性もあります。


【5. 炎症後色素沈着:PIH】

外傷・やけど、ニキビ・ニキビ跡、アトピー性皮膚炎や湿疹、虫刺され、レーザー治療後などで皮膚が傷害を受けると炎症が生じます。炎症が表皮の基底膜のメラノサイトを刺激してメラニンを過剰に生成してしまうことが原因で、炎症後に起こる色素沈着のことで赤味を帯びた褐色の色素沈着・シミです。この治療のためには、炎症を抑える治療とその炎症が生じるようになった原因を取り除くことが大切となります。炎症はステロイドやタクロリムスなどの外用剤で抑えることと、その上で美白剤や日焼け止めを併用することにより、色素沈着は数か月~半年の経過はかかりますが自然治癒や保存的治療の方針となります。


【表皮と真皮の全層治療;スキンリジュビネーション】

1. 表皮の治療

  1. 表皮ターンオーバーの日数は加齢により長くなり、一般的に20代で28日前後、30代で45日前後、40代で55日前後、60代で75日前後と言われています。
  2. 肝斑や色素沈着に対しては、メラノサイトの活動性をコントロールして、表皮のメラニン沈着を改善して顔全体をトーンアップしていきます。
  3. 日光黒子・老人性色素斑に対しては、スポット照射でケラチノサイトを破壊します。
  4. ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)には、スポット照射で表皮層と真皮層のメラニン、メラノサイトをともに破壊していきます。

2. 真皮の治療

  1. 真皮層は加齢によって、線維芽細胞が衰え、膠原繊維(コラーゲン)が減少し、弾力繊維(エラスチン)が変性します。細胞間基質も減少し、真皮が劣化していきます。
  2. 真皮乳頭層も扁平化するため、表皮への栄養供給が不足して表皮も劣化していきます。
  3. 真皮の治療とは、真皮層の膠原繊維(コラーゲン)や弾力繊維(エラスチン)を再構築・増生することで、シワ・肌理・毛穴をきれいにしていきます。
  4. 真皮層の治療で真皮が改善されると、表皮への栄養供給も改善されることで表皮もよくなります。その結果、表皮と真皮の皮膚全層の改善がみられます。

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