ケミカルピーリングは、古くはクレオパトラが乳酸を用いて行っていたということまで遡ります。その後、美容目的で欧米で広く行われていましたが、20世紀になり日本にも導入され、医療機関で受けられる肌の治療方法の一つです。

グリコール酸、乳酸、サリチル酸といった薬剤を塗布することで、皮膚の古い角質を化学的に薄く剥がして、肌の新陳代謝を高めるという治療法です。古い角質をゆっくりと取り除くと同時に、肌のターンオーバーを整え、皮膚再生を促す創傷治癒機転を利用して、赤ら顔（酒皶）、シミ・肝斑、小ジワ、くすみなどの肌質改善やニキビなど肌トラブル改善が期待できます。

ケミカルピーリングの作用機序

1. 角質層剥離作用；薬剤を塗った肌の角質層を剥離し、古い角質や汚れを取り除き、肌をリセットすることでターンオーバーを正常化します。くすみを改善し、肌のキメが整い、毛穴が目立ちにくく透明感のある柔らかな肌へ導きます。
2. 薬剤浸透作用；肌の新陳代謝を促進し、角質にあるメラニンが排出され、シミやニキビ跡などの色素沈着を改善し、新しい肌の生成を活性化します。優れた殺菌効果と皮脂分泌抑制によってニキビのできにくい肌を作ります。
3. 薬剤浸透作用促進；薬剤が角質層を通り越して肌の深部に浸透します。真皮層のコラーゲン産生が促されるため、肌にハリがでて小じわの改善に繋がります。

ケミカルピーリングの効果

• くすみのない透明感のある柔らかな肌にする
• 皮脂分泌を抑え、殺菌効果でニキビを防止する
• シミや色素沈着を薄くする
• 水分保持力アップで肌のハリが出て、小じわが目立たなくなる
• 肌の老化予防（アンチエイジング）

---

【ケミカルピーリングによるニキビ治療】

ケミカルピーリングは、殺菌効果と皮脂分泌抑制作用によって、できてしまったニキビを改善するとともに、ニキビのできにくい肌を作ります。

角質などが取り除かれることで皮脂の分泌が正常化し、膿をもったニキビなどは自然に膿が排出されていきます。即効性があり、治療直後から肌の状態が変わることが実感できます。また治療継続することで毛穴のつまりを除去し、ニキビを改善する効果とともに、肌質が変わることで新たなニキビのできにくい肌へと改善していくことが期待できます。

ニキビの治療回数としては、症状の程度によりますが、5回ほどで効果がみられることが多く、5～10回程度をお薦めします。ニキビ跡に関してはケミカルピーリングのみでは改善を得ることは難しくレーザー治療との併用が効果的です。

【ケミカルピーリングと他の美容施術との相乗効果】

エレクトロポレーション（メソナJ）やメソセラピー（ウルティムガン）などの導入系の美容施術は、ケミカルピーリング後に行うと、より浸透度が上がるため効果的です。

レーザー治療に関しても、ピーリングにより毛穴の角栓を除去して肌のざらつきや毛穴の詰まりを改善した後にレーザー治療を行えば、より治療効果のアップが期待できます。

---

サリチル酸マクロゴールピーリング

サリチル酸マクロゴールによるピーリングは、他のピーリングに比べて刺激がないのが特徴です。

刺激が少ないため、赤みや痛み、乾燥が起こりにくく安全性が高く、角質層のみに作用して古い角質を溶かします。さらにコラーゲン生成を活発化する作用があるため、施術直後から皮膚の弾力性や肌触りの改善を実感できます。継続することで、ニキビ・小じわ・くすみなどの肌質を改善が期待できます。また顔全体をはじめとして、デコルテや背中、腕、お尻などにも施術可能です。

サリチル酸マクロゴールは、サリチル酸をマクロゴール基剤に溶かした薬剤です。サリチル酸自体は強い酸であり肌への刺激が強いため、肌の深部まで浸透しすぎるため、ダメージを与えてしまいます。一方でマクロゴールとは肌を保護する効果が期待できる基剤で、酸の余分な浸透を防ぎ、肌を守ってくれます。この2つの特徴を組み合わせ配合したものが、サリチル酸マクロゴールです。高いピーリング作用を持ちながら、肌へのダメージが少ないためダウンタイムが短いです。またサリチル酸とマクロゴールは親和性が高く、角質層以外の細胞を傷つけるリスクがほとんどありません。そのため、どのような肌質の方でも受けられるピーリングです。

---

【推奨ペース】

2週間に1回で治療開始して、治療経過で効果が現れてきた時点で1ヵ月に1回を定期的に5～10回ほど受けられることをおすすめします。