末梢性顔面神経麻痺と再生医療
奈良県香芝市 ノアクリニック 内科・呼吸器内科、再生医療
こんにちは、ノアクリニックの青野です。当クリニックは再生医療等安全性の確保等に関する法律に基づき、厚生労働省へ第二種再生医療等提供計画を提出し計画番号を取得した医療施設です。
再生医療とは本来人間が持っている自己修復能力を引き出すことで何らかの原因で傷ついた神経や組織を再生・修復する医療のことです。
末梢性顔面神経麻痺とは
顔面神経は脳から顔に向かって伸びる神経で、顔の表情を作っています。顔面神経麻痺とは、顔面神経が麻痺し、片側の顔が動かしにくくなる病気です。脳に原因がある中枢性と、脳の外に原因がある末梢性に分かれます。90%以上は末梢性顔面神経麻痺です。
ある日突然「片方の口角からよだれが垂れるのに気づいた」「鏡を見ると顔が歪んでいた」「目や口をしっかりと閉じることができない」「おでこのシワ寄せができない」といった症状が現れます。
末梢性顔面神経麻痺の原因
最も多いのは、約60%でベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)です。次に多いのは、約20%のラムゼー・ハント症候群です。ハント症候群の方が症状はより重いとされます。前駆症状として肩こり、後頭部痛、耳のあたりの痛みなどを伴うことがあります。顔面神経麻痺のほかに、内耳神経が障害を受け、難聴やめまいを同時に起こすことがあります。
末梢性顔面神経麻痺
①ベル麻痺:単純ヘルペスウイルスが関与
②ハント症候群:水痘・帯状疱疹ウイルスが関与
いずれも、疲れやストレスで免疫力が落ちていると発症すると考えられます
ベル麻痺
顔面神経麻痺の原因として最も多く、約60%以上を占めています。あらゆる検査で原因が特定できないものをベル麻痺(特発性末梢性顔面神経麻痺)と言います。
原因は単純ヘルペスウイルスが関与しているとされています。一般にベル麻痺では良好な経過をたどり、後遺症なく改善することも多いとされます。
ハント症候群
顔面神経麻痺の約20%を占めています。原因は水痘・帯状疱疹ウイルスとされています。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうや帯状疱疹のウイルスです。ウイルスが顔面神経に入り込んで活性化することで炎症をおこし、神経がむくみます。顔面神経が頭蓋骨の中を通るところで浮腫を起こした神経が骨に圧迫されて麻痺が生じると考えられています。炎症が周囲の脳神経にまで波及すると、耳の症状も出現します。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、以前かかった時に体内に入り込んだウイルスが、症状が治まった後も顔面神経の膝神経節に潜伏していて、過労やストレス・病気などで免疫力が低下した時にウイルスが再活性化することで生じやすいと言われています。
診断には、血液検査で血清抗体価や特異的IgMの上昇を測定する方法があります。しかし、抗体価の上昇がみられない症例が多くあり、ベル麻痺との区別は容易ではありません。
発症から1週間程度で、電気診断(誘発筋電図・神経興奮性検査)などを行うと、予後の判定に有用といわれています。
ハント症候群の方がベル麻痺よりも症状が重いとされ、ハント症候群の患者さんでは治癒率が60%程度ともいわれていますので、後遺症が残るかもしれません。
末梢性顔面神経麻痺の治療
末梢性顔面神経麻痺と診断された場合は、できるだけ早くステロイドを中心とした治療を行うことが必要です。
ハント症候群の治療の基本はステロイド治療と抗ウイルス治療で、より早期(発症から3日以内)に開始した方が効果が高いとされます。
末梢性顔面神経麻痺の治療経過
顔面神経麻痺の症状は、発症数日から1週間以内に増悪していきます。治療経過で麻痺症状は次第に回復していきますが、回復には数週間~数か月を要します。
3か月経過しても麻痺が残っている場合でも、6ヶ月~1年以内には若干の回復の余地はあるとされています。
1年以上経過しても残っている麻痺症状については後遺症が残す可能性が高いと思われます。
末梢性顔面神経麻痺と再生医療
今後、再生医療の分野で研究されている技術が用いられる可能性があります。
大阪大学医学系研究科・医学部の形成外科学講座では、脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた末梢神経損傷に対する再生医療の開発や新規治療法の開発に取り組んでいます。
大阪市立大学では、人工多能性幹細胞(iPS 細胞)と人工神経を用いた末梢神経の再生や、iPS 細胞の移植再生医療なども研究されています。
ヒト幹細胞培養上清液(エクソソーム)点滴治療
ヒト幹細胞培養上清(エクソソーム)とは、間葉系幹細胞(MSC)を培養する過程で細胞から生み出された生理活性物質を含む上澄み液を抽出したものです。
500種類以上の成長因子やサイトカインなどの生理活性物質が、内在性の幹細胞を患部に誘導し、組織の修復・再生や細胞の機能回復を促す効果があります。エクソソームは最も重要なファクターであり、効果を高めるキーマンとされています。エクソソームは損傷を受けた細胞に集まり、内包する遺伝子等の働きで標的となる細胞を活性化させることで炎症を抑え、細胞の修復を自力で回復できるように働きかけます。
末梢神経損傷に対する再生医療として、症状進行の抑制や麻痺の症状緩和の可能性のあるエクソソーム点滴治療では体内に幹細胞を効率よく取り込むことができます。
推奨ペース
1か月に1~2回から開始してください。高い効果を発揮させるために3~5回の施術を受けていただくことをおすすめしています。効果を持続させるために定期的に注射する場合には、1ヵ月に1回を継続します。
副作用・リスク
- エクソソームは生体分子なので、異物である合成製剤などと比べると安全性は高いです。
- ごくまれにアレルギー反応や薬疹、アナフィラキシーを起こす可能性があります。
- 注射部位及び周囲の疼痛、発赤等を起こす場合がありますが自然軽快します。
- ごくまれに悪心、発疹、掻痒感、蕁麻疹を起こす場合があります。
- 生体分子の成分を注入するため、点滴後は献血ができなくなります。
脂肪由来幹細胞培養上清液(エクソソームプレミアム)
品目 | 数量 | 税込価格 |
---|---|---|
エクソソームプレミアム(1.0ml 33,000円) | 2バイアル (4.0ml) 3バイアル (6.0ml) | 132,000円 198,000円 |
子宮内膜由来幹細胞培養上清液(エクソソームスペシャル)
品目 | 数量 | 税込価格 |
---|---|---|
エクソソームスペシャル(1.0ml 41,800円) | 0.5バイアル(3.0ml) 1バイアル(6.0ml) | 125,400円 250,800円 |
エクソソーム点滴・再生医療についてはこちら
エクソソーム点滴についてはこちら