インフルエンザについて
奈良県香芝市 ノアクリニック 内科・呼吸器内科・発熱外来 総合内科専門医
こんにちは、ノアクリニックです。季節性インフルエンザの感染拡大が続いています。
例年より流行が早く、これから冬場にさらに大きな感染の波が来る恐れがあるとされています。これは、コロナ禍の2020~22年はインフルエンザはほぼ流行しなかったため十分な免疫を持たない人が増えたことや訪日外国人が増えた影響などのため、数年に1度の規模の流行になる恐れがあるとも指摘されています。
そのため早めのインフルエンザワクチン接種をお薦めしております。インフルエンザワクチンですが、感染を100%予防することはできませんが、感染率を減らしたり、発症しても症状を軽減したり、さらには重症化のリスクを減らすことができます。当クリニックでは、1回目 3,300円 2回目 3,000円(13歳以上は1回、13歳未満は2回接種 )で行っております。お気軽にお問い合わせのうえご予約下さい。
インフルエンザ(流行性感冒)と風邪(普通感冒)の違い
風邪(普通感冒)はさまざまなウイルスなどによって起こる病気です。その症状は鼻汁、くしゃみ、のどの痛み、咳などが主症状で、発熱やその他全身症状は軽度です。
インフルエンザ(流行性感冒)では普通の風邪のような鼻汁、くしゃみ、のどの痛み、咳などの呼吸器の症状だけでなく、38℃以上の発熱、倦怠感、関節痛・頭痛、食欲不振などの全身症状を伴います。小児ではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人では肺炎を合併するなど重症になることがあります。
インフルエンザ | 普通感冒 | |
発病 | 急激・流行性 | 緩徐・散発性 |
悪寒 | 強い | 軽い |
優勢症状 | 全身症状 | 上気道症状 |
発熱 | 高度;38℃以上が多い | 軽度;37℃台が多い |
全身の疼痛 | 強い | なし~軽い |
重病感 | あり | なし |
眼所見 | 結膜充血 | なし |
合併症 | 気管支炎・細菌性肺炎などの二次感染 | 少ない |
インフルエンザの治療薬
インフルエンザの主な治療法は発症早期の抗インフルエンザウイルス薬の投与です。発症から48時間以内に使用すると、ウイルスの増殖を抑え、発熱・関節痛・頭痛・倦怠感などの症状の改善を早めたり、体外に排出されるウイルスの量を減らすなどの効果があります。その他、高熱には解熱剤、咳には鎮咳薬や去痰薬などの対症療法を使用します。高齢者や重症化しやすいハイリスク群では肺炎を合併すると致命的になることもあるため、抗菌薬を併用されることもあります。
一般的に使われている抗インフルエンザウイルス薬には、内服薬、吸入薬、点滴があり、それぞれ用法・用量、投与日数が異なります。下記表を参照ください。
商品名 | タミフル | ゾフルーザ | イナビル | ラピアクタ |
投与経路 | 経口 | 経口 | 吸入 | 注射 |
規格・剤型 | カプセル75mg ドライシロップ3% | 錠10mg 錠20mg | 吸入粉末20mg | バッグ300mg バイアル150mg |
適応 | A型又はB型 | A型又はB型 | A型又はB型 | A型又はB型 |
用法用量 | 【成人】 1回75mgを1日2回5日間 【幼小児】 2mg/kgを1日2回5日間 【新生児、乳児】 3mg/kgを1日2回5日間 | 【12歳以上】 体重80kg未満 40mgを単回投与 体重80kg以上 80mgを単回投与 【12歳未満】 40kg以上 40mgを単回投与 20kg-40kg未満 20mgを単回投与 10kg-20kg未満 10mgを単回投与 | 【10歳以上】 40mgを単回吸入 【10歳未満】 20mgを単回吸入 5歳以上で吸入できると判断された場合 | 【成人】 300mgを15分以上かけて単回点滴静(最大600mg) 【小児】 1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注(最大600mg) |
投与日数 | 5日間 | 単回使用 | 単回使用 | 単回使用(症状に応じ連日反復投与も可) |
腎機能障害時の投与 | 減量必要 | 通常量 | 通常量 | 減量必要 |
予防投与 | 可 【成人の場合】 1回75mgを1日1回7~10日間 【幼小児の場合】 2mg/kgを1日1回10日間 | 可 【12歳以上】 体重80kg未満 40mgを単回投与 体重80kg以上 80mgを単回投与 【12歳未満】 40kg以上 40mgを単回投与 20kg-40kg未満 20mgを単回投与 | 可 【10歳以上】 40mgを単回吸入or20mgを2日間吸入 【10歳未満】 20mgを単回吸入 5歳以上で吸入ができると判断された場合 | 不可 |
インフルエンザ治療薬の予防投与について
インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者で、重症化リスクが高い人が対象となります。予防投与は保険がききませんので自費となります。ノアクリニックではイナビルを取り扱っています。